スペインでは、毎年10~11月頃に翌年の祝日が発表されます。というのも、スペインの祝日のしくみは少々複雑なのです。在住歴約20年の私でさえ、「え、明日お休みなの?じゃ、今日中にスーパーに行っておかなきゃ」となることがあります。今回は今年の祝日やスペインのバケーション事情をお話しします。
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3タイプの祝日があるスペイン
スペインの祝日が複雑な理由は、毎年日付が変わる移動祝日があることはもちろんですが、国全体の祝日以外に自治州単位のもの、市町村単位のものがあることです。この3種類の祝日を組み合わせて合計14日になるよう設定されます。
例として私が住むバレンシア州の州都バレンシア市の2022年の祝日を見てみましょう。
バレンシア市の2022年の祝日
- 1月 1日 元旦
- 1月 6日 公現祭
- 1月22日 聖ビセンテ・マルティルの日
- 3月19日 聖ホセ(キリストの父)の日
- 4月14日 聖木曜日
- 4月15日 聖金曜日
- 4月18日 復活の月曜日
- 4月25日 聖ビセンテ・フェレールの日
- 6月24日 聖フアン(洗礼者ヨハネ)の日
- 8月15日 聖母被昇天の日
- 10月12日 ヒスパニア・デー
- 11月 1日 諸聖人の日
- 12月 6日 憲法記念日
- 12月 8日 無原罪の御宿りの日
©VisitValencia<サン・ビセンテ・フェレールはバレンシアで生まれた聖人>
祝日のほとんどはカトリック教会に由来
今年の10月9日バレンシア州の日とクリスマスは日曜日にあたるので祝日にはなりません。
元旦とヒスパニア・デー、憲法記念日以外はすべてカトリック教会に由来しているところがスペインらしいですね。
©VisitValencia<聖木曜日と聖金曜日はセマナサンタ(聖週間)中の木曜日と金曜日のこと>
このうち、1、2、6、10、11、12、13、14が国全体の祝日、4、5、7、9は州の祝日、3と4はバレンシア市の祝日になります。
厄介なのはこの市町村独自の祝日。毎年その日が休みとも限らない上、知らずにその町に宿をとったら商店はどこもお休みということも起き得ます。スペイン旅行の際には注意しておきたいですね。
私は郊外に住んでいるので、明日バレンシア市内に買い物に行こうと思ったら、その日はバレンシア市の祝日だったことがあります。ちなみに日本の祝祭日は年間16日。スペインより2日多いのです。
労働憲章では年間暦日30日の有給を保障
さて、日本人はなんとなくスペインは休みが多いという印象を抱いていますが、実際はどうなのでしょう?
スペインの労働憲章では1年に30日間の有給の権利が保障されています。ただ、この30日間というのは暦日なんです。どういうことかというと、日本だと土日祝日は有休にカウントされませんが、スペインではカウントされてしまうのです。
もし、8月1日から30日まで30日間連続の休暇をとるとしたら計8日の土日があるので、日本式に考えると22日相当になります。思ったほど長くはないですよね。
©VisitValencia<海や山とスペイン人は町よりも自然に囲まれて過ごす休日が好き>
私はスペインに来てから2つの企業で働きましたが、それぞれ休暇のシステムが違いました。
最初に働いていたのはジャストインタイム生産システムを採り入れた製造業で、休暇は製品の納入先に準じていました。納入先は夏に4週間弱、冬は2週間弱の連続休暇があるアメリカ企業なので30日以上の有給をもらうことができました。但し、これ以外は土日祝日しか休めず、年2回の休暇期間外に休みがほしい場合は交渉の上、無給扱いでした。
次に働いた零細企業は、年間暦日30日を好きな時に取ることができました。30日以上必要な場合はやはり無給です。
学校の長い休暇は親の悩みのタネになることも
もちろん、スペインにもブラックな職場もありますが、有給の消化率はかなり高いです。ちなみに傷病休暇の権利もあり、医師の診断書があれば有給休暇を使って休む必要はありません。決められた等身内での忌引きも同様なほか、会社によっては引っ越し休暇まであるので、30日の有給は自分が楽しむために使うことができるのです。
学校のお休みはというと、とても長いです。6月半ば過ぎから9月の初旬までが夏休み。クリスマスは約2週間、そして春休みも10日~2週間。小学生以下の子どもがいる共働き家庭には頭の痛い問題です。
©VisitValencia<近場でお金をかけずに楽しむ方法を知っているスペイン人>
大人も子どももスペイン人はお休みが大好き。そして休日の楽しみ方も上手です。これについてはまた機会を見つけてお話ししたいと思います。