ブルターニュ地方北部のペロスギレックと周辺の自然保護区は、まだ日本ではあまり知られていない地域ですが、ヨーロッパでは人気の高いリゾート地です。各国から集まるツーリストたちのお目当ては、花崗岩がユニークな景観を形成するバラ色の巨石海岸。観光船に乗ってエメラルド色の海に繰り出せば、幾千万の海鳥たちが無人島に集う野生の王国に驚かされます。大自然の神秘に包まれた、唯一無二の美しい地域をご紹介します。
目次
美観のリゾート地 ペロスギレック
大西洋と英仏海峡からの波が入り交じる、コート・ダモール地域を代表する街ペロスギレック。ヨーロッパでは人気のリゾート地で、オンシーズンの浜辺に出ると、その景観の美しさに圧倒されます。
海を臨む高台には豪華な別荘やホテルが立ち並び、白砂の入り江にはマリンスクールのカラフルな小さなヨット、浅瀬には真っ白なモーターボートが浮かんでいます。この地域の海は夏でも冷たいので、浜辺に水着で寝転んでいる人は少なく、マリンスーツを着てスポーツを楽しむ人々が行き交っています。
癒しの散歩道 税関の小道
高台に登ると、海を見渡せる細長い小道が東西に延びています。GR34、通称「税関の小道」は、かつては密輸取り締まりのためにつくられたもので、現在ではブルターニュ地方の海沿いを一周する有名な長距離ハイキングコースです。
この小道の西側4kmほど先に、花崗岩の巨石海岸があります。ゴールは、プルマナックという小さな港町。私の歩調に合わせるように、マリンスクールの小さなヨットたちも海上を西へと進んでゆきます。とてもかわいい風景です。
奇妙な異空間 バラ色の巨石海岸
やがて赤みがかった巨石が積み重なる場所に到着します。ここが世界でも類いまれな、花崗岩が形成するバラ色巨石海岸(Côte de granit rose)への入り口です。
遥か昔、吹き出したマグマが長い年月をかけてゆっくり冷えて生まれた花崗岩。ここでは約25ヘクタールに及んで、赤い花崗岩が陸や海中に存在しているそうです。バラ色の巨石が果てしなく続く海岸を、岩に登ったり下ったりして歩いていると、まるで異星に迷いこんだような気分になります。
偉大なアーティストの海は、花崗岩を様々な形に削って、陸の人々の想像力をかきたてました。犬、かば、絵描きのパレット、くじらの頭、クレープの山積み、王冠、魔女、、、奇妙な形の岩群には、様々な呼び名が付けられています。あなたには、これが何に見えますか?
花崗岩で造られたプルマナックの灯台。この場所は、日没に訪れると最高に美しいと言われています。島巡りの観光船に乗ると、海側から巨石海岸を眺めることもできます。船を岸辺近くに寄せて色々説明してくれるので、巨大アートが分かりやすく、壮大さも実感できます。徒歩散策と海上から、両方体験されることをおすすめします。
海鳥の王国 七つの島
海鳥の列島「七つの島(Sept îles)」には、この観光船で出かけました。チケット売り場と船着き場は、ペロスギレックの海岸西側にあります。幸運にもお天気は最高、波も穏やかだったので、乗客はほぼ全員デッキで海鳥との遭遇にスタンバイ。
七つの島々はすべて無人島で、「修道者の島」にのみ小一時間上陸が可能です。島からの景色も絶景です。
保護区に生態する海鳥たち。可愛らしいニシツメドリ(macareux-moines)は地元のマスコット的存在です。航海中、アザラシやイルカに遭遇することもよくあります。
圧巻はルジック島。島の側面一帯を覆う白い斑点は、シロカツオドリ(Fou de Bassan)の大群です。鳴き声に空を見上げると、上空にもぎっしり。渡り鳥なので、この地で繁殖を終えた後、夏の終わりには次の地へと飛び発ってゆきます。
「七つの島」の大自然を、ぜひこちらのビデオで体感して下さい。
地上の楽園 ブレア島
七つの島巡りが素晴らしかったので、美しいと評判のブレア島にも出かけてみました。長さ3.5km 、幅1.5kmの小さな島で、島内にはレストランや小さなホテルもあります。船を降りてからの散策は、自転車か徒歩のみ。そのせいか、ここではゆっくり時間が流れていくような感覚になりました。
海の風景も、陸の風景も、季節の花々も綺麗で、まるで地上の楽園のような島。おかげで、幸せ度もアップして帰路につくことが出来ました。
観光船の情報は、こちらのサイトから。夏場でもパーカーは必須です。
さいごに
ペロスギレック周辺の自然保護区を巡る旅、いかがでしたか?疲れた心をリセットしてくれるような絶景の宝庫に、自然に勝るものはない!と実感したのは私だけではありませんよね?そして忘れてはいけないブルターニュ地方の名物といえば、、、
そば粉のガレット!ちょっと贅沢に帆立貝のせ。りんごのお酒のシードルで素敵な旅に乾杯。ではまた、次の旅路でお会いできることを楽しみにしています。