レズドラ ミシュランレストラン

フランスのミシュラン社は5月6日、ミシュランガイドの「ニューヨーク市/ウエストチェスター郡2021年度版」を発表しました。

新型コロナウイルスの影響で、ニューヨーク市では、2020年3月から6月後半までの間、店での飲食が禁止となり、各レストランは休業またはデリバリーとお持ち帰りのみでの営業を強いられました。6月末に屋外席での営業が再開、9月末に収容人数制限を課して店内飲食が開始されました。しかし、再び感染が広がったため、店内飲食が禁止に。2021年2月から収容人数制限つきで再開しましたが、レストラン業界にとっては不安定な苦しい状況が続きました。

ニューヨークではこれまでに、イタリアンの「デル・ポスト(Del Posto)」、日本料理の「響屋(Kyo ya)」、シーフードの「アクアグリル(Aqua Grill)」、ダニエル・ブルーのフレンチ「カフェ・ブルー(Café Boulud)」、「ゴッサム・バー&グリル(Gotham Bar & Grill)」、「21クラブ」などのミシュラン星獲得店や老舗有名店を含む、少なくとも1,000店のレストランが廃業しました。

そんな中、ミシュランの覆面調査員は、12月末までに2021年度版の調査を完了したとのこと。調査とはいっても、ずっと休業していたお店もあるので、きっとすべての店舗は回れていないのでしょう。

目次

新たに1つ星を獲得した7店

2021年度版では、前年星を獲得していたお店で、現在も生き残っているお店はすべてそのままの地位が保持され、脱落も降格もありませんでした。ル・ベルナルディン、パ・セ、マサ、ブルックリンのシェフズテーブルはもちろんのこと、ヴィ―ガンメニューに方向転換してしまったイレブンマディソンパークでさえも3つ星のままです。

そんな中、レストラン業界にとって最悪な1年を乗り越え、新たに1つ星を獲得したお店が7店ありましたので、ここに紹介します。

ニューヨークは新型コロナウイルスのパンデミックからの復興途上にあるため、営業時間などがこれから変わっていくこともあると思いますので、あえて営業時間や定休日は載せていません。詳しくは各店のウェブサイトで確認して下さい。

1. レズドラ(Rezdôra)

2019年5月のオープン以来、予約が困難なフラットアイアン地区にあるイタリアンレストラン。ユニオンスクエアからもマディソンスクエアパークからも近いです。

シェフのステファノ・セッキ(Stefano Secchi)氏とパートナーのデビッド・スウィッツァー(David Switzer)氏による共同経営で、ニューヨークタイムズの3つ星を獲得しています。セッキ氏は、世界で最も有名なレストランの1つであるオステリア・フランチェスカナで働いていた経歴の持ち主。

同店のメニューは、生ハムが入ったアノリーニや黒トリュフのラビオリ、2種類の非常に濃厚なラグーなど、グルメの州として知られるイタリアのエミリア・ロマーニャ州の料理から影響を受けた、ハンドメイドのパスタが中心です。毎日、5~10種類のパスタの中から選ぶことができます。5品で90ドルのパスタのテイスティングメニューもあるので、パスタ好きはこれを試してみるのも良いかもしれません。

おすすめの注文方法は、前菜のニョッコフリット(Gnocco Fritto)と、パスタを1人で2種類頼むことだそうです。ニョッコフリットは、揚げパンの上にサラミや生ハムなどの塩漬け肉がのったもので、メニューにあれば必ずオーダーするべきだと言われるマストアイテムです。

レズドラ
<courtesy of Rezdôra>

レズドラ
<courtesy of Rezdôra>

Rezdôra

2. ツキミ(Tsukimi)

2019年6月にオープンした、イーストビレッジの中心にある懐石料理店。

シェフは、祖父の代から新潟で料理旅館を経営していたというご家庭に育った秋山剛徳(タカノリ)氏。日本の学校で料理を学んだ後、六本木の瀬里奈に就職。その後、ニューヨークに渡ったそう。ビジネスパートナーは台湾で生まれ、日本とカリフォルニアで育った素敵な女性、カレン・リン氏。

キャビアやウニ、クロマグロや和牛を使った11品のテイスティングコースを14席のカウンターで提供しています。コースのお値段は、195ドル+税+チップで、お酒のペアリングはプラス125ドルです。コースは2時間半ほどかかるそうなので、お食事の後にショーやライブなどの予定を立てる場合は、余裕をもって計画しましょう。

ツキミ
<Photo by George C>

Tsukimi

3. ジュア(Jua)

2019年11月にオープンした、モダン高級韓国料理のお店。西洋料理の影響を受けた7品の韓国料理のテイスティングメニューを、120ドルで提供します。飲み物とのペアリングは85ドルの追加。

パリのエコール・フェランディ料理学校で料理を学んだシェフのホヤン・キム(Hoyoung Kim)氏は、ミシュラン2つ星韓国料理店ジュンシク(Jungsik)の韓国店およびトライベッカ店で働いていました。同店では、ラインクックから始め、エグゼクティブシェフにまで上り詰めた経歴の持ち主です。店名の「ジュア」は、娘さんの名前だそう。

テーブル席42席のこじんまりしたお店で、7席あるバーではアラカルトで注文できます。

ジュア
<Photo by Dan Ahn>

Jua

4. ドン・アンジー(Don Angie)

オハイオ州クリーブランドで、イタリアンベーカリーを営む家庭で育った女性、アンジー・リト氏と、広告業界でのキャリアを捨て、料理の世界に飛び込んだスコット・タシネリ氏の夫妻が経営する、グリニッジビレッジの小さなイタリアン=アメリカン料理レストラン。メニューは、前菜、パスタ、肉、魚などのアラカルト。2人とも、クオリティー・イタリアンなどの一流店で修業を積んできました。

ドン・アンジーは、2019年に料理界のアカデミー賞と言われるジェイムス・ビアード賞で、準決勝まで残っています。

ドン アンジー
<©Don Angie>

Don Angie

5. コチ(Kochi)

ヘルズキッチンにある、韓国の串焼き料理店。肉や魚介類、野菜など、バランスを考えて季節感を取り入れた串焼きが、おまかせで順番に出てきます。125ドルの10品のシェフのテイスティングメニューと、85ドルの7品のテイスティングメニューがあります。お酒のペアリングは、それぞれ105ドルと75ドル。

コチ
<Photo by Will Blunt>

Kochi

6. べストリー(Vestry)

ソーホーにある、ショーン・ハーガット(Shaun Hergatt)氏のシーフードレストラン。オーストラリアで生まれ育ったハーガット氏は、スカンジナビア人の祖母の家庭料理とプロのシェフだった父親の影響を受け、子どもの頃に料理に目覚めました。シドニーのリッツカールトン在籍中にベストヤングシェフ賞を受賞。その後、ニューヨークのリッツカールトンで料理長、マイアミのセタイでエグゼクティブシェフとして高い評価を得ました。ニューヨークの金融街にオープンしたショー・ショーン・ハーガット(SHO Shaun Hergatt)は、ミシュランの2つ星を獲得し、エスクァイアとニューヨークマガジンの両方から「ベストニューレストラン」、ニューヨークマガジンから「ベストニューシェフ」を受賞しました。2013年にエグゼクティブシェフおよびパートナーになったジュニ(Juni)でも、ミシュランの星を獲得しています。Vestryは、そんなハーガット氏のもっとも新しいレストラン。

Vestryでは、地元の食材を中心にシーフードや野菜料理に主に焦点を当てた季節限定のメニューを提供しています。

予約がなくても早い者勝ちで座れるバーシートもありますが、お酒だけの利用はできませんのでフードオーダーしなければなりません。

べストリー
<©Vestry>

Vestry

7. フランシー(Francie)

新型コロナウイルスの影響でオープンが遅れ、2020年12月に、ブルックリンのウイリアムズバーグの中心にオープンしたばかりの地中海ビストロ。ジョン・ウィンターマン(John Winterman)氏とシェフのクリストファー・シポロン(Christopher Cippollone)氏の共同経営です。イタリアやフランス、スペインの影響を受けた料理を提供する親しみやすい雰囲気の同店は、歴史的な石灰岩の元銀行だったビルの中にあります。マーケットサラダとダック、パスタがシェフのお薦めです。

フランシー
<©Francie>

Francie

ソムリエ賞とヤングシェフ賞

今年から、ミシュランガイド「ニューヨーク市/ウエストチェスター郡」に、ソムリエ賞とヤングシェフ賞が新たに加わり、ソムリエ賞をソーホーの中華料理店「ピンチ・チャイニーズ(Pinch Chinese)」のミゲル・デ・リオン(Miguel de Leon)氏が、ヤングシェフ賞をトライベッカの2つ星獲得韓国料理店「ジュンシック(Jungsik)」のスヨン・パク(Suyoung Park)氏が受賞しました。

今年は、アカデミー賞でも中国人女性が監督賞を、韓国人女性が助演女優賞を受賞するなど、各方面でのアジア系の活躍が目覚ましいですね。日本人にも、より一層頑張っていただきたいものです。

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