国産レモン発祥の地といわれる、しまなみ海道「生口島」。瀬戸内の海に浮かぶこの島には、サイクリングの途中に立ち寄ってみたい魅力的なスポットがたくさんあります。人気のジェラート専門店や極彩色の寺院と白亜の丘、瀬戸内の郷土料理が楽しめる老舗食堂など。ここではそんな「生口島」の、アートでグルメな島旅をご紹介します。

瀬戸田発のジェラート専門店「ドルチェ 瀬戸田本店」

瀬戸田発のジェラート専門店「ドルチェ 瀬戸田本店」
レモンをはじめとした柑橘類の名産地・生口島。「ドルチェ 瀬戸田本店」は、その地の利を活かした地産地消のジェラート専門店です。「100%自然でありたい」がコンセプトで、美味しくてヘルシーなジェラートが魅力。

本店は海沿いにあり抜群のロケーション。店内には広々としたイートインスペースがあり、まるでカフェのような雰囲気です。海側のテラス席では、瀬戸内の美しい風景を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごせます。


「トリプルカップ」(500円)
ジェラートの種類はとてもバラエティ豊か。「レモン」や「夏みかん」といった柑橘類はもちろん、「伯方の塩」や「愛媛の栗」など、地元の名産品を使ったカラフルなジェラートがショーケースの中に並んでいます。

ジェラートを入れる容器は、コーンとカップの2種類。コーンはシングルとダブル、カップはそれに加えてトリプルでオーダーできます。お好みのジェラートを選んで、自由自在に組み合わせられるのも楽しみのひとつです。

極彩色のスケールの大きな菩提寺「耕三寺」

極彩色のスケールの大きな菩提寺「耕三寺」
大正・昭和の時代に活躍した大阪の実業家・耕三寺耕三さん。「耕三寺」は、そんな彼が母親への感謝の気持ちを込めて建立した菩提寺です。「孝養門」や「本堂」などの豪華絢爛な建造物は、日本各地にある歴史的な建築をモデルにしたもの。そのスケールの大きさには驚かされるばかりです。

無檀家の寺院なので、博物館として公開して入館料を維持・管理の資金としているのだとか。


日光東照宮の陽明門がモデルの「孝養門」
「孝養門」は、日光東照宮の陽明門をモデルにした建造物。「耕三寺」が「西の日光」と呼ばれている所以でもあります。この門を作り上げるため、各部位の工匠たちが日光に派遣されたのだとか。完成までには、約10年の歳月が費やされました。

モデルになった陽明門よりも、さらに色鮮やかで豪華な造りになっています。


国宝・平等院鳳凰堂がモデルの「本堂」
「本堂」は、京都・宇治にある国宝・平等院鳳凰堂をモデルにした、耕三寺の中心ともいえる建造物。中央には中堂、左右には翼廊を配しています。仏教建築の最高峰ともいわれる藤原時代の様式を忠実に再現。朱色を基調とした極彩色で、こちらもモデルより一段と鮮やか。

前方の池では優雅にコイが泳ぎ、屋根の上では鳳凰がその翼を広げています。

大理石で作られた白亜のアート空間「未来心の丘」

大理石で作られた白亜のアート空間「未来心の丘」
耕三寺の敷地の奥には、広さ5000平方メートルの白い大理石で作られた美しい庭園「未来心の丘」があります。芸術活動の一環として作りあげられた広大な空間で、敷地内にはさまざまなモニュメントを配置。庭園全体がひとつの壮大なアート作品を構成しています。
この壮大なアート作品を制作したのは、世界的に有名な彫刻家・杭谷一東さん。杭谷さんのアトリエはイタリア・カッラーラにあり、ここで使用されている大理石はそこで採掘して、コンテナ船でここまで運んできたものなのだとか。

この「未来心の丘」は、風景や光、風雨など、この場所の持っているあらゆる自然とのバランスの中で形作られている環境と響き合っている作品なのが特徴。また、ただ敷地内を歩いてまわるだけでなく、実際に手で触れて楽しむことができるようにも意識されています。

丘の中心にそびえ立つのは「光明の塔」。西に沈む太陽に合掌するようなかたちをしている、この庭園のシンボル的なモニュメントです。


「カフェクオーレ」の外観
この庭園の敷地内には「カフェクオーレ」というカフェスペースもあります。この建物も杭谷さんによって手がけられた大理石でできた建造物。メニューはドリンクとデザートが中心で、エスプレッソやカプチーノ、ジェラートなど、イタリアンが意識されています。

店内だけでなく、野外にあるテーブル席でもくつろげますよ。

生口島の郷土料理が堪能できる「御食事処 ちどり」

生口島の郷土料理が堪能できる「御食事処 ちどり」
お腹が空いてきたら、生口島名物のタコ料理はいかがでしょうか。その味が堪能できるのが、耕三寺の目の前にお店をかまえている「御食事処 ちどり」。昭和40年創業の老舗で、伝統的な調理法で美味しさが引き出されたタコ料理が食べられます。この島の名物・タコ料理を楽しみたい時にぴったりな郷土料理の専門店です。

「タコ天丼卵とじ」(1,350円)
生口島名物のタコを存分に楽しめるのが、人気のメニュー「タコ天丼卵とじ」。

瀬戸内海産のタコは、明石産のものと並ぶほどブランド価値の高い食材。エサに恵まれた綺麗な海であるのはもちろんのこと、このあたりの潮の流れが早いためこともその美味しさの理由です。岩場にしっかりと踏ん張ることで、身が引き締まった美味しいタコになるのだとか。

事前予約が必須ですが、「島の新しい名物を作りたい」ということで考案された「レモン鍋」という名物料理も。レモンの輪切りがたくさん浮かんでいて、具材には、タコやカキ、タイなどの瀬戸内の海の幸がたっぷり。レモンが入ることで、さっぱり食べやすくなった鍋料理です。

フレッシュな生搾りジュースが人気「フェリーチェ・ディ・ツッカ」

フレッシュな生搾りジュースが人気「フェリーチェ・ディ・ツッカ」
「レモンスカッシュ」(500円)
柑橘類の島として知られる生口島。その新鮮な柑橘類を使ったジュースで人気なのが「felice di tucca(フェリーチェ・ディ・ツッカ)」です。レモンやオレンジなどの果実を使った生搾りジュースやレモンスカッシュなど、ほどよい酸味がサイクリングで疲れた身体を心地よく癒してくれます。テイクアウトもできますよ。

しまなみ海道「生口島」で、アートでグルメな島旅を♪

しまなみ海道「生口島」で、アートでグルメな島旅を♪
「空へ」(作:眞板雅文)
タコやレモンが名物の、しまなみ海道「生口島」。ここではサイクリングの途中に立ち寄ってみたいスポットをご紹介しました。

柑橘系の名産地であることをフル活用したジェラート専門店や、「西の日光」と呼ばれる豪華絢爛な寺院、白亜の大理石で作られた壮大なアート空間など。しまなみ街道のほかの島々に比べて、見所がまとまった場所にあるのも嬉しいところ。

また、この島は、島全体を美術館に見た立てた「島ごと美術館」でもあります。島の所々に17の彫刻作品が展示されているので、それらを探してみるのも楽しいですよ。

ぜひこの島で、アートでグルメな島旅を楽しんでみてください。

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

文:中川康雄

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