夏のバケーション期間が過ぎ、一時コロナ感染者数が激減したミュンヘンもまた徐々に感染者数が増加してきました。2021年8月26日現在、過去7日間の新規感染者数10万人あたりの数値は6月頃まで25%以下を保っていたものの、現在は65%まで増加。ミュンヘンだけで約7万7千人感染者がいる状態です。コロナ感染者数が多かった時期の数値に戻りつつあることから、再度ロックダウンが行われるのではないかと心配の声もあがっています。そんなミュンヘンの現在のコロナ禍の様子をレポートします。
制限が厳しかった頃と比べ、大分日常生活は送りやすくなりましたが、日本での生活とは大きな違いがあるのでそのあたりを中心にまとめてみました。なお、ドイツ国内でも状況やルール等異なりますので、あくまでもミュンヘンの状況を基に記載していることをご理解ください。
目次
増えつつあるドイツにおけるコロナ感染者数
2021年8月26日現在のバイエルン州の新規感染者数は1,807名、感染者の合計数は約67万人。ドイツ全体の感染者数は394万人にものぼります。以前のピーク時に比べると新規感染者数は減っていますが、それでもこの数週間で一気に感染者数が増えた様子を見ると、また以前のような生活に戻ってしまうのではないかと心配になる日々です。
マスクをつける習慣が無かったドイツでも、昨年より屋内でのFFP2マスクの着用が義務付けられてからすっかりマスクは必需品となり、消毒液もほとんどの店先に用意され使用する人も多く見かけるようになりました。コロナに気を付けている人は、昨年より圧倒的に多いのではないかと思います。その反面、ワクチン接種率もあがっているためか、人との間隔をあけないなどコロナをあまり意識せず行動している人がいるのも現状です。通常生活が戻りつつあるため、コロナを警戒しなくなる人が出てくることも仕方がないような気はしますが、コロナを軽視している人が少数でもいることが感染者数増加傾向にある一因になっているように思います。
また、7月、8月と夏の長期休暇でEU内を移動する人が多いこともあり、8月後半から感染者数が増加の一途を辿っています。
新たな措置、3Gルールの導入
2021年8月10日、数週間で新規感染者数が増加傾向にあるため、感染を抑え込むためにドイツで新たな措置「3Gルール」が発表されました。日常生活にまた制限がかかるのは面倒ですが、この数週間で一気に感染者数が増えた様子を見ると新たな措置は致し方無いかなと感じています。
この3Gルールの「3G」とは、ワクチン接種完了後14日以上経過している者(geimpfte)、感染からの回復者(genesene)そしてコロナ検査実施者(getestete)のこと。3Gルールとは、過去7日間の人口10万人あたりの新規感染者数が35%を超える地域においてこの3Gに該当する者のみが、病院やレストランの屋内、宿泊施設等に立ち入りできるというルールです。この新たなルールは8月23日より導入、原則6歳以上全ての人に該当するので、ワクチン接種者や回復者でない限り必ず検査を受けないといけないため、日常生活にかなり影響がでてくることになりそうです。
コロナ検査無料期間廃止
先ほど記載した通り、3Gルール導入後日常生活に支障をきたすのはワクチン未接種者でまだコロナに感染していない人。そんな人のために政府はきちんと対策をとってくれていました。市民は15分で結果が出る24時間有効な抗原検査、または結果が出るのに半日程かかる48時間または72時間有効なPCR検査が週に1度無料で受けられていたので、安心して日常生活を送ることができていました(抗原検査やPCR検査の有効期限はその自治体によって異なります)。
しかし、7月1日よりPCR検査は無料期間廃止、約75ユーロかかるようになり、抗原検査もついに10月11日より無料期間を終えることになりました。まだ金額は定かではないのですが、おおよそ15~40ユーロかかる見込みです。日本円にすると約3,000円。どこへ行くにも3,000円支払い、検査を受けてから外出するという手間を考えると、今後ワクチン接種を義務付けられていなくても、接種せざる負えない人が増えてくるのではないかと思います。
ちなみに、こちらの画像はほぼドイツ全土で義務付けられているFFP2マスクと自身で抗原検査ができる簡易キットです。正式な陰性証明としては使用できませんが、こちらは約1ユーロで購入でき、自宅で気軽に検査ができるので重宝しています。
ドイツにおけるワクチン事情
コロナ検査有料化の背景には、ワクチン接種率があがったことがあげられています。現在、必要回数のワクチン接種が完了している国民は全体で60%以上。ドイツはワクチンを義務付けてはいませんが、ワクチン接種を積極的に推奨しており日常生活に支障が出てくる人も多いので、今後さらにワクチン接種率が上がっていくのではないかと考えられています。
ワクチンが誰でも打てるように現在は、比較的どの病院でも簡単に予約ができる状態です。病院で予約ができなかった人でも市民センターに足を運べば気軽に接種できるそうです。さらに主要場所にワクチンバスが行くようになっている状態です。生活圏内であればどこでもワクチンが打てるようになっています。このような状況からワクチン接種にドイツ政府が力を入れていることがみてとれます。
3Gルール導入もあり、重要になってくるのがワクチン接種証明書。基本的にドイツ在住者はWHOの国際的共通内容の黄色い予防接種手帳を持っています。病院や市民センター等で発行してもらうケースもありますが、基本的に薬局で数ユーロで購入できます。ワクチン接種後、こちらの予防接種手帳にワクチン接種の記録を残してもらえば、ワクチン証明としてEU内ほぼどの国でも使用可能です。ちなみにこちらの手帳、日本でも入手可能なので持っていない方は購入をおすすめします。
また、ワクチン手帳を持ち歩きたくない方にはデジタル証明がおすすめ。現在ドイツでは3種類程のデジタル証明のスマホアプリがあり、そちらにワクチン接種情報を登録することができます。自身のQRコードを薬局で発行してもらい、そのQRコードをそのままスマホで持ち歩けるのでとても便利です。
最後に
屋内のマスク着用等、ルールは欧州内でも厳しい方のドイツ。
ドイツではルールをしっかりと守る方が多いので、コロナ感染者数が少しでも減少することを期待しています。