※こちらの記事は、2016年1月に公開されたものです。

嵐山の嵯峨野は、いにしえより都の貴族を魅了し、清少納言も『枕草子』の中で「野は嵯峨野、さらなり(言うまでもなくすばらしい)」とほめたたえた趣ある景勝地。しっとり落ち着いた雰囲気がただよう奥嵯峨までのエリアには、すてきなカフェや雑貨店が点在しています。

ふだんより時の流れがゆるやかに感じられるのどかなこの地を歩けば、気持ちもまあるくなっていくようです。

「テトラミリュー」で京都×北欧のテキスタイルに出合う

「ポーチ」(S・2073円)など色鮮やかなアイテムの数々
清凉寺の東側の通りを北へ進むと、閑静な住宅街に北村美和さんと愛子さん姉妹が営むテキスタイルデザインショップ「Tetra-milieu (テトラミリュー)」が佇んでいます。

京都の染めの文化と北欧モダンが融合した品を展開。愛子さんが和の伝統柄の矢絣(やがすり)にヒントを得て雁の群れを表した「TORIYA-KASURI」や木芙蓉(もくふよう)などをデザインしたものを職人がていねいに手染した生地は、手作業ならではの模様のゆらぎも面白くシンプルで日常になじみます。

併設のカフェでは美和さんが淹れるコーヒーや焼き菓子で、静かに流れる時間を楽しめますよ。

「スペシャルティコーヒー」(450円)

Tetra-milieu (テトラミリュー)
[住所]京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町9-1 1F
[TEL]075-468-1668
[時間]11:00~18:00(カフェ~17:30)
[休]月~木曜、不定休・臨時休業あり

「モミカフェ」でおしゃれな精進料理ランチはいかが

「精進ごはんランチ」(1350円)
真っ白な壁に高い天井、大きな窓からは前庭の紅葉や萩といった季節の植物が眺められる「MOMI CAFE(モミカフェ)」は、まるで自然につつまれているかのように落ち着く空間です。

店主の佐藤潤子さんが手づくりするおばんざいが人気で「お客さんも自分も安心できるものを」と、主に地元で採れる季節の素材を使っています。

ランチは「精進ごはんプレート」1種類のみ。数量限定なので予約がおすすめです。ほかには葛や生麩を使った和のデザートなどが揃います。

天井が高くシンプルな店内には雑貨も並ぶ

MOMI CAFE(モミカフェ)
[住所]京都市右京区嵯峨二尊院門前北中院町15
[TEL]075-882-6982
[時間]11:00~17:00
[休]火・水曜、ほか臨時休業あり(3月から月・水・金曜)

かつて天皇が営む離宮だった典雅な「大覚寺」へ

“村雨の廊下”と呼ばれる回廊が諸堂を結ぶ
「大覚寺」は、平安初期、嵯峨天皇が建立した広大な離宮・嵯峨院が前身で、876(貞観18)年に寺院へと改められました。宸殿(しんでん)の前に広がるまばゆい白砂の庭、豪華な襖絵の数々、足を止めてじっくり味わいたい見どころがたくさんです。

いくつもの御殿をつなぐ鴬張りの回廊は、歩けばキュッキュと鳴って印象的。五大堂(本堂)では写経や写仏体験が予約なしでできます。

正寝殿腰障子の野兎
御霊殿の天井には法具や鳥、牡丹などの草花がさまざまに描かれていたり、正寝殿の腰障子には19羽の野兎たちが描かれていたりと、乙女心をくすぐるポイントがいっぱい。それぞれ仕草が違ってかわいい野兎たちは、幼くして入寺した皇子を慰めるために描かれたものだとか。

大覚寺は観月の名所でもあり、うさぎと月をモチーフにした根付けやあぶらとり紙などおみやげも揃います。大沢池のほとりをぶらりと歩いて水面に映る空を眺めたり、諸堂をめぐって美しい意匠を探してみたり、一日でも過ごせるお寺です。


「花守り」(各500円)は12種類が揃う

大覚寺(だいかくじ)
[住所]京都市右京区嵯峨大沢町4
[TEL]075- 871-0071
[時間]9:00~16:30(大沢池は~17:00)
[休]無休
[料金]500円(大沢池は文化財維持協力金200円)

「紅茶専門店 アンナマリア」で心ほどけるティータイム

「紅茶専門店 アンナマリア」で心ほどけるティータイム
「インド風ミルクティ(チャイ)」(900円)
天龍寺の総門からすぐのところにある「紅茶専門店 Anna Maria(アンナマリア)」は、京都らしいしっとりとした店構え。日本建築の店内はイギリスを思わせる優雅な洋の空間と、日本庭園を眺めることのできる和の空間があり、ゆるりとくつろげます。

紅茶はインドやスリランカの厳選された本格的な味わいのものばかり。店主の花輪さんがていねいに淹れる紅茶は琥珀色に輝いて香り高く、飲むにつれ心がほどけていくようです。

紅茶専門店 Anna Maria(こうちゃせんもんてんアンナマリア)
[住所]京都市右京区嵯峨天竜寺北造町13
[TEL]075-871-5087
[時間]10:00~18:00
[休]火・水曜(祝日の場合は営業)

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

文:田中昭美 写真:吉村規子

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