奈良・橿原(かしはら)にある「おふさ観音」の風鈴まつりは、2500個もの風鈴が境内のいたるところに飾られていてその景色は圧巻。風鈴の即売所や茶店もオープンしています。夏の風物詩ともなっている暑気払いのお祭りで、風情溢れる日本の夏を感じてみませんか?
「おふさ」さんが奉った観音様がお寺のはじまり
近鉄南大阪線「橿原神宮前駅」から車で約10分の場所にある「おふさ観音」は、江戸時代に土地の娘‟おふさ”さんがお堂を立てて観音様を奉ったのが起源とされている高野山真言宗のお寺。明治初期に建てられた本堂には、本尊である十一面観音様が奉られています。毎年夏には無病息災に過ごせるよう「おふさ観音」にお参りするのが土地の人々の昔からの風習となっているそうです。
風鈴の音は暑い夏を乗り切るための厄払い
夏を無事に過ごせるようにと「おふさ観音」に飾られはじめた風鈴。もともと風鈴は、仏教の伝来とともに伝わった風鐸(ふうたく)がルーツといわれています。お堂の軒下の四隅に吊るされていた風鐸の音色は魔除けになるとされていて、それが発展し、風鈴として庶民の間にも親しまれるようになったそうです。境内の風鈴はどんどんと増えていき、今では2500個以上の風鈴が吊り棚や木々など、いたるところに吊るされています。
江戸風鈴や地元奈良の風鈴など全国の風鈴の見本市
本堂の入口には、色とりどりの短冊で彩られた風鈴が200個以上あり、風が吹くと一斉に本堂に音色が響きます。風鈴をよく見ると、伝統的な手吹きの江戸風鈴を中心に、金属製や陶製などさまざまな種類の風鈴があり、その音色の違いを楽しむのもおすすめです。本堂では全国の風鈴を展示販売しているコーナーもあり、カラフルなガラスが美しい奈良風鈴や南部鉄器の風鈴など、手作りの風鈴をお土産にすることもできます。
茶房では期間限定でかき氷を販売
お堂を開放して開いた茶房が境内の裏手にあり、お土産なども販売する休憩処になっています。風鈴まつりの時期だけの限定で食べることができる手作りシロップのかき氷は、ふわふわの氷がおいしいと評判です。お抹茶や軽食なども販売しているので、日本庭園を眺めながらゆっくりとくつろげますよ。
風鈴まつりは夏限定ですが、境内にはバラの花も植えられていて、初夏と秋にはバラがお寺を彩り花の名所としても知られる「おふさ観音」。古都・奈良の人々に親しまれ続けるお寺で夏の無病息災を願いながら、涼と風を感じるひとときを過ごしてみませんか。
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文:田口真由美