岩手県中西部、秋田と県境を接する西和賀(にしわが)町は、岩手有数の温泉地であり、豪雪地帯。そんな西和賀の冬の風物詩が、今年25回目を迎える「雪あかり」です。大きな雪像から民家の軒先の小さなかまくらまで、町中が雪を照らすろうそくの灯りに包まれるこの日。地元グルメのおもてなしや湯めぐりも楽しめます。

「雪のまち」に灯る、2万本のろうそくの灯り

「雪のまち」に灯る、2万本のろうそくの灯り
一面雪景色の西和賀。それでも今年は積雪量がだいぶ少ない
岩手県の県庁所在地・盛岡市から車でおよそ1時間半。「日本の背骨」とも称される奥羽山脈のふもと、秋田との県境に位置する西和賀町は、面積のおよそ8割を森林が占める自然豊かなまち。岩手屈指の豪雪地帯で、厳冬期には2メートル近い雪に覆われます。

町民の手で作られる雪のモニュメントたち。毎年さまざまな工夫が凝らされる(写真提供/西和賀雪あかり実行委員会)
かつては交通を妨げ、生活に負担をかける厄介者だった雪。しかし今ではこの雪を「資源」として利用する取り組みをしています。
そのひとつが、毎年2月に開催される「雪あかり」。今年で25回目を迎えます。

会場は西和賀町全域。広場に設えた大きなモニュメントから、家々の玄関に置かれた小さなものまで、大小の雪あかりのひとつひとつにろうそくの火が灯されます。その数、なんと2万本。

ろうそくのゆらぐ灯りは、電飾などのイルミネーションとはまた違う、素朴なあたたかさが魅力。各地で振る舞われる納豆汁や甘酒など郷土料理のおもてなしにも、心がほっと温まります。

西和賀の納豆汁は山菜がたっぷり入り、具沢山(写真はイメージ)

駅に温泉? 砂の温泉? 西和賀はユニークな温泉の宝庫

駅に温泉? 砂の温泉?  西和賀はユニークな温泉の宝庫
JR「ほっとゆだ駅」に隣接する公衆浴場「ほっとゆだ」。地元の常連客は「定期券」を持っているとか
西和賀は温泉の宝庫でもあります。町内には11の源泉・温泉場があり、泉質もさまざま。公衆浴場も8つあり、地域の人たちの憩いの場となっています。

なかでもユニークなのが、駅舎に隣接する公衆浴場「ほっとゆだ」と、東北唯一の砂風呂「砂ゆっこ」です。

「ほっとゆだ」は、JRほっとゆだ駅に隣接する公衆浴場。浴室には信号を模したランプが設置されていて、列車の時間が近づくとそれぞれ「青(45分前)」「黄(30分前)」「赤(15分前)」と色で知らせてくれます。

列車の時間を知らせる浴室内の信号

日帰り入浴もOK♪ 「四季彩の宿 ふる里」で雪見風呂

日帰り入浴もOK♪ 「四季彩の宿 ふる里」で雪見風呂
渓流の四季の移ろいとともにお湯を楽しむ露天風呂(女性用)
老舗旅館から和モダンな隠れ宿、リゾートタイプのホテルまで、それぞれに個性と趣のある温泉宿が点在する西和賀。
日帰り入浴できるところが多く、気軽に湯巡りを楽しめます。

湯川温泉にある「四季彩の宿 ふる里」は、渓流沿いに建つ閑静な一軒宿。季節の移ろいを味わう露天風呂と、源泉掛け流しのお湯が自慢です。特に冬は、この時期ならではの凛とした空気とともに熱いお湯を楽しむのが醍醐味。

落ち着いた雰囲気のロビー。ゆったりと時間が流れる

渓流を臨む露天風呂付きの特別室。ほかにもいろいろなタイプの客室がある
露天風呂付きの部屋が12室あり、気兼ねなく雪見風呂を楽しめるのも魅力。
北東北の食材をふんだんに使った料理も評判で、冬は身体が芯から温まる鍋料理を用意しています。
一面の雪景色と幻想的な雪あかり、そしてポカポカあったまる湯めぐりと、冬だからこそ味わえる楽しみを堪能できる西和賀。たっぷり厚着をして、出かけてみませんか。

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

文:鈴木いづみ

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