花街の面影が残る ゆるり島原さんぽ
※こちらの記事は、2016年7月に公開されたものです。

芸妓さんや舞妓さんが行き交う花街は京都の魅力のひとつですが、かつては島原も江戸時代から公許の花街として栄えました。町の姿は変わっても、今も変わらず古きよきものを受け継いでいます。
古民家を改装した複合施設で雑貨を見つけたりコーヒーを味わったり、どことなく郷愁をさそう夏のひととき、花街の余香を探しながらレトロな島原の町を歩いてみませんか。

古民家をリノベーションしたマーケット「itonowa」

古民家をリノベーションしたマーケット「itonowa」
左:「itonowa」に入っている店舗の紹介看板 右:昔ながらのたたずまいが残る
京都では、長く人々に愛されてきた古い建物を蘇らせる活動が盛んです。「itonowa(イトノワ)」もそんな試みのひとつ。繊維関係の町としても栄えたこの地で、中庭をはさんで空き家になっていた明治の町家と昭和の民家をつなぎ、あらたなランドマークがオープンしました。
その距離わずか33m。糸にまつわる商品を扱うお店やカフェなど7店舗が入居しています。


カモネギサンド770円とドリップコーヒー440円
「itonowa」の中にあるカフェ「GOOD TIME COFFEE(グッドタイムコーヒー)」。1杯ずつていねいに抽出されるコーヒーは、3種の煎り方から選べます。白味噌で味つけした「カモネギサンド」とともに、ブランチはいかが。

○糸でつながる33mのマーケット itonowa
(いとでつながるさんじゅうさんメートルマーケットイトノワ)
[住所]京都市下京区下松屋町通花屋町下ル突抜2-357
[TEL]なし
[時間]11:00~18:00
[休]水曜

○GOOD TIME COFFEE(グッドタイムコーヒー)
[TEL]075-202-7824
[時間]11:00~18:00
[休]水曜

手焼きの京あられと京おかきのお店「菱屋」

手焼きの京あられと京おかきのお店「菱屋」
「うすばね」(1袋330円)。少し反っているのは天日干しの特徴
島原大門のすぐ近くにひっそりとたたずむ「菱屋(ひしや)」は、藤田光一さん夫妻が営む、手焼きの京あられと京おかきのお店。昔ながらの懐かしさがただよい、店頭には小袋に詰められたおかきやあられがずらりと並んでいます。

評判を呼んでいるおやつが、薄い羽根のように繊細で上品なおかき「うすばね」。紙のような薄さにスライスした餅を、一枚ずつ天日干ししてから焼くそう。手作業で手間ひまかけて作られる「うすばね」は、口の中ではかなげに割れ、醤油の香ばしい風味とかすかな餅米の甘さが楽しめます。一度食べたら忘れられない味ですよ。

菱屋(ひしや)
[住所]京都市下京区花屋町通壬生川西入南側
[TEL]075-351-7635
[時間]9:00~19:00
[休]不定休

創業は明治時代

武士が愛した粋にふれる「角屋もてなしの文化美術館」

武士が愛した粋にふれる「角屋もてなしの文化美術館」
一番広い「大座敷松の間」には豪華な襖絵「桐に鳳凰の図」も残る
広い台所を備えた大宴会場「揚屋」の建築が日本で唯一残り、重要文化財に指定されている角屋。現在は見学のできる文化施設として、連綿と紡いできた歴史と文化を伝えています。
西郷隆盛や坂本龍馬、絵師の与謝蕪村も訪れたことのあるというこちらでは、かつて饗宴が催されたり、茶室を備えた文化的サロンとしての役割を担い、句会も行われていたりしたそう。
庭に臥龍松があることからその名がついた「大座敷松の間」をはじめ、各客間には凝った意匠が随所に施され、台所や庭園など見どころ満載。しばし江戸時代の社交遊宴文化に浸れます。

「網代(あじろ)の間」から望む中庭は光と影の対比が美しい

角屋もてなしの文化美術館
(すみやもてなしのぶんかびじゅつかん)
[住所]京都市下京区西新屋敷揚屋町32
[TEL]075-351-0024
[時間]3月15日~7月18日、9月15日~12月15日、10:00~15:30
[休]期間中月曜(祝日の場合は翌日休)
[入館料]1000円(1階と美術展示室)、2階特別公開は別途800円(要予約)

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

文:田中昭美 写真:吉村規子

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