涼し気な湧き水をいたるところで見かける大垣市
今では少なくなってしまいましたが、湧き出るように自噴する井戸もあり、地元の人々が水を汲みに訪れるほど。そんな美味しい水に恵まれた大垣は城下町だったという歴史もあり、多くの和菓子店が軒を連ねる街でもあります。
店の前に水槽が置かれた、大垣駅前「金蝶園総本家本店」
創業寛政10年というお店ですが、伝統を守りながらも新しい菓子作りにも取り組んでいて、水まんじゅうも抹茶味やコーヒー味などさまざまな味を創作。水まんじゅうの販売は3月末~10月上旬までですが、「杏餡」や「桃餡」など果実を使った月替わりの水まんじゅうを楽しむことができ、季節を感じることができます。
「金蝶園総本家本店」では、何より出来立てにこだわっていて、葛とわらび粉を絶妙な配合で合わせた生地を作り置きせず、なくなってきたら随時製造。もっちり、ぷるんとした食感と透き通るような美しさの理由となっています。
水まんじゅうの歴史を知ることができる「餅惣」
「水まんじゅうは、明治時代にはすでに地元の人々に親しまれていたようです。身近な素材と冷たい井戸水を利用した庶民の味でした」と教えてくれたのは店主の鳥居さん。お猪口を型にして生地を流し入れ、井戸舟と呼ばれる水槽で冷やしながら販売している様子は大垣の夏の風物詩だったとか。お店にはそんな当時の写真や印刷物などが展示されていて、水まんじゅうが人々に親しまれていたことを知ることができます。
かき氷の中に入れて冷やしているので、水まんじゅうがもっちりみずみずしい食感に。葛の味を損なわないよう氷には自家製の白蜜を掛け、水まんじゅうが主役になったかき氷に仕上げています。ほかにも、マスカルポーネチーズを入れた半分青い水まんじゅうなど、アイデア溢れる品も。水まんじゅうはいずれも4月~9月上旬限定です。
大垣の水まんじゅう食べ比べできる限定商品も登場
水まんじゅうは1個から販売しているお店も多く、持ち帰りもできますが、その場で出来たてが食べるのがおすすめ。大垣の冷たい水を一緒に口に含んでこそ、その醍醐味が味わえます。水音が響く街を散策しながら、ぜひ涼し気な夏の和菓子を楽しんでみてください。
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文:田口真由美